美容師の良し悪しはどこで判断する?
美容師の良し悪しをどこで判断するのかって、意外とむずかしいと思いませんか。
カットが上手い、カラーが綺麗、接客が丁寧…それだけじゃ測れない部分がたくさんあります。
私は長年美容師として働いてきて、技術そのものよりも「お客様とのイメージ共有」と「その後の提案」こそが、美容師の良し悪しを分けるポイントだと強く感じています。
希望の髪型にするだけがゴールではない
メリット・デメリットを伝えることも美容師の仕事
お客様が「この髪型にしたい!」と来てくださったとき、私はまずその希望をきちんと聞きます。
でも同時に、私は髪の毛の専門家です。髪のことも、いろんなお客様の実例もたくさん見てきています。
だからこそ、その髪型をしたときに予想される内容を必ずお伝えします。
- スタイルのメリットとデメリット
- スタイルをキープするために必要な来店頻度
- 合わせるべきメニュー
- 自宅でのスタイリングやケアの方法
これらを説明したうえで、最終的にお客様自身に選んでもらいます。
「希望する髪型にする」だけがゴールではありません。
お客様が家でもちゃんと維持できて、「この髪型にしてよかったな」と思ってもらうこと。
それが私の中での“正解”です。
スタイルの維持に必要なこと
髪や骨格に対して難しいスタイルをする場合、当然スタイリングも大変になることがあります。
それでも「やりたい」という気持ちがあるなら、私は全力でそのスタイルを作ります!
でも例えば、
- 「出来る限りスタイリングしたくない」
- 「不器用だから無理」
- 自分のクセや骨格を活かしたい
と最初からお客様自身がわかっているのに、そこを無視してバッサリ切ってしまったら…あとで大変なことになります。
それはお客様にとっても美容師にとってもそれは正解ではないですよね。
だからこそ、最初の段階でイメージを共有しておくことがとても大事だと私は思っています。
お客様とイメージの共有
信頼される美容師とは
お客様と美容師の間で仕上がりのイメージがズレてしまうと、満足度は大きく下がります。
写真を見て「これでお願いします」と言っても、髪質や骨格、スタイリング習慣が違えば同じ仕上がりにはなりません。
だから美容師側は、ある程度先を予測できていないといけません。
例えばこんな点です
- この人の髪質ならこのスタイルは持ちが悪い
- この長さなら1ヶ月後にはこうなる
- このパーマなら乾かし方を変えないと再現できない
そういったことを踏まえて、お客様にわかりやすく説明し、提案する力。
これがあるかどうかで、美容師の信頼度は大きく変わります。(たぶん)
私が思う「良い美容師」の条件
技術だけじゃなく、〇〇できる人
私の思う良い美容師、信頼できる美容師というのは、技術があるだけではなく、
今まで話してきたことが全て出来る人のことです。
- 要望を正確に聞き取る
- 髪質や骨格を踏まえて提案する
- メリット・デメリットを説明できる
- 来店頻度やメニュー、ケア方法まで伝えられる
- お客様とイメージを共有し、ズレを防ぐ
これらを一貫してできる人は、お客様にとって安心感がある存在になると思います。
私はずーーっと、そういう美容師を目指しています。
そしてこれは、まつげのデザインやヘアセットでもまったく同じです!!
どの技術でも、考え方の根本は変わりません。
更に言うと、「要望を正確に聞き取る」ってかなり難しい。
なぜなら本人も本当の要望をわかっていないから。
例えば良くあるのが、
「髪をすいてほしい(減らしてほしい)」という希望の意図が「収まりを良くしたい」だった時。
減らしても収まりが良くなるとは限らない。(特に長期的な意味では)
本人は「すけば収まる」と思っているので相違が生まれている場合がある。
もちろん一概には言えないけど…
だからこそプロである美容師自身は「なぜその希望なのか」を聞く能力は必要だと思う。
結局そのために必要なのは人としての厚みというか、経験といいますか…
「人間力」とか言うらしいですが、これだと思う。
理想的な美容師は存在しない
私には、特定の“憧れの人”はいません。
美容師を選んだきっかけになった人はいるけど、”理想像そのもの”な人はいなくて。
いろんな人の良いところを真似したり吸収したりして
「こうであったら良いな」という理想を作り上げています。
まだまだだなー…と思ったり落ち込んだりもします。かなり。
もっとこうしてあげられたかも、こうするともっとよかったかも!!って。
けど昔に比べると、今の私はだいぶ「理想の美容師」に近づいてきたと感じています。
美容師以外の仕事にも通じる考え方
デザインの仕事も構造は同じ
この考え方は、美容師の仕事だけじゃなくてデザインの仕事でも同じです。
たとえばWeb制作やイラストの仕事でも、「おしゃれなデザインを作る」だけでは不十分。
実際に使う人や見る人にとってどうか、
運用や更新のしやすさ、将来のことまで考えて提案できる人の方が、最終的に信頼されると思っています。
クライアント様の”目的”を明確にしてアプローチする!
きっとこれに尽きるので。
他の仕事にも共通している
よく考えたら、これは他の仕事にも当てはまります。
メリットだけではなくデメリットもきちんと考えて説明してくれる人の方が信頼できますよね。
自分の仕事に置き換えてみても、
- 「とりあえずやってみます!」だけではなく
- 「これはこういうリスクがあるから、こう対策しましょう」
と説明してくれる人の方が安心して任せられる。
私はそういう人を信用しますし、自分もそうでありたいと思います。
信頼される美容師とは…
上手な美容師と下手な美容師の違いは、技術の上手い下手だけではない。
お客様の希望を聞き、メリット・デメリットを伝え、イメージを共有して、一緒に作っていけるかどうか。
そこに信頼が生まれるし、結果的に「この人に任せてよかった」と思ってもらえる美容師になれると信じています。
私はこれからも、ただ技術を磨くだけじゃなく、
提案力や説明力を育てて、「人間力」も育てながら、信頼される美容師であり続けたいです。
(少なくとも指名してくださるお客様からは信頼してもらっているという前提で話しましたw)
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